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September 28, 2005

そして、ひと粒のひかり

緻密、ストレート。驚嘆。
心だけではなく肝、
または脳みそを掴まれるだろう

 ※トラベルムービー レビュー⑥(試写済)

 『シティ・オブ・ゴッド』を鑑賞した時の衝撃が今でも忘れられない。「いい映画を観たなー」とか「スゴクいい!」とか、そういう鑑賞レベルをはるかに超えていた。言葉を失った。映画も凶器になるのだと思った。喉もとから脳天まで刃物でグサッと突き刺されたような気分。いつまでも痺れている感覚…。

 今作『そして、ひと粒のひかり』の試写後、その時のことを思い出した。だが、『シティ・オブ・ゴッド』のような作品かと尋ねられれば、全く別種の印象を持つ作品である。

soshite1

 物語は、コロンビアの小さな田舎町で働き暮らす17歳のマリア(カタリーナ・サンディノ・モレノ)の日常から始まる。狭い家に家族5人で住む彼女は、いつも衝突が絶えない。家計の頼りである彼女は、いつも責め立てられている。毎日バラ農園に出向き、恐ろしく単調な刺抜きの仕事をこなし、仕事が終われば同じ町のボーイフレンド、ホアンと会うが、ときめきもなく虚ろな毎日を過ごしている。そんなある日のこと、体の不調から職場で上司とトラブルを起こし、仕事をやめてしまう。また彼女には別に大きな心配事があった。
 収入源をなくした彼女への叱責のなか、町にろくな仕事はなく、頼れるのは首都ボゴタで働いている友人だけ。町へ行くバスを持っていたその時、パーティーで一度会ったフランクリン(ジョン・アレックス・トロ)がバイクに乗って現れる。事情を知る彼は彼女をバイクに乗せ、ボゴダへ連れて行っていくる。途中、彼女に「旅に関係する仕事」を紹介するという。外の世界を知りたいマリアは、不安ながらも好奇心がそそられる。
 それは「ミュール(運び屋)」の仕事。麻薬の粒を飲んで、ニューヨークへ運ぶ仕事だった。ストーリーは職場での親友・ブランカ(イェニー・パオラ・ヴェガ)も巻き込み、一時も目を離せない方向へ進んでいく…。

 おもしろいとかつまらないとかの範疇を超え、この作品は、ストーリーが描き出す南米コロンビアの現実(リアル)を観客の前にまっすぐ差し出す。それは日常との地続きにある、すぐ隣に潜む危険。危険へと人を誘い出す、厳しい現実。彼女たちは、驚くほど容易に運び屋の世界に引き込まれていく。
 「ちょっとやってみる?」
 「うん、いいよ」 →「…(えらいことになったけど、やるっきゃない!)」。
 みたいな。

 この作品が秀逸なのは、なぜか凝視してしまう、目を背けることができない、その演出テクニックとフィルムに刻まれた飾りのない空気感。緩むことのないほどよい緊張感。
 よくよく見るとカットにも編集にも無駄が一切ないことがわかる。ドキュメンタリーチックでもありながら、完璧なほど緻密な構成だ。
 主演のカタリーナ・サンディノ・モレノ以下、キャスティングもすばらしい。大げさな感情の扇動表現もなく、映画の芝居だということを忘れさせてしまうレベルへ到達している。いっさい手を抜かない、たぐい稀なクレバーな作品だ。
  
 おそらく、この映画を鑑賞した後は、きっと頭が冴え渡ることだろう。苦い「ひと粒」が胸の奥に収められるだろう。
『ミリオンダラー・ベイビー』より、数倍いいと思う。(ヒネクレ者なので)

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9月28日、第2位?トップへの道険しく…

10月15日公開、渋谷シネアミューズほかロードショー
配給:ムービーアイ
■公式サイト
http://www.soshite-1tsubu.jp/

※あんまりにも多忙でマスコミ試写を逃したため、最近一般試写で観ることになったが、期待は裏切られなかった。

そして、一粒のひかり
そして、ひとつぶの光
***************************************************************
■世界各地の映画祭にて、堂々46部門ノミネート、24部門受賞をしている。

本年度アカデミー賞主演女優賞 ノミネート
ベルリン国際映画祭 主演女優賞 新人監督賞
ドーヴィル映画祭 グランプリ 国際批評家賞 観客賞
サンダンス映画祭 観客賞
ニューヨーク映画批評家協会賞 第一回作品賞
ロサンゼルス映画批評家協会賞 新人賞
サンフランシスコ映画批評家協会賞 外国語映画賞
ワシントン映画批評家協会賞 外国語映画賞
シアトル映画批評家協会賞 外国語映画賞
トロント映画批評家協会賞 第一回作品賞
インディペンデント・スピリット賞 主演女優賞 第一回脚本賞
ゴッサム賞 ブレイクスルー監督賞 ブレイクスルー女優賞

■世界中の女性たちに捧げる"21世紀のマリア、真実の物語"

 2004年、サンダンス映画祭で観客達がナンバーワンに選んだのは、南米コロンビアからうまれた『そして、ひと粒のひかり』だった。南米社会の事実にもとづいたスリリングなストーリー展開と、成長していく主人公の姿に誰もが深い共感をおぼえるドラマによって人々の心を強く掴んみサンダンス映画祭観客賞を受賞した本作は、その後ベルリン国際映画祭をはじめ世界各地の映画祭で大絶賛を受け、女優カタリーナ・S・モレノ×監督ジョシュア・マーストン?新しい二つの才能は瞬く間に全世界に知れ渡り映画界の「事件」となった。
 昨年夏の全米公開時にはニューヨーク、ロサンゼルス7館上映から始まったものの1館あたりの興行収入は公開1週目、2週目とも『アイ、ロボット』、『ボーン・スプレーマシー』を抜いて第1位になり、最終的には全米127館が上映する拡大公開を成し遂げた。

■『アモーレス・ペロス』、『シティ・オブ・ゴッド』につづく南米の真実を描いた"衝撃作"。

 アメリカ人である監督ジョシュア・マーストンは、多くのショートフィルムを監督し評価を得た後、本作でついに長編デビューをはたした新鋭。日頃から移民について興味を持っていた監督は、あるコロンビア移民の女性から聞いた話にインスピレーションをえて、この作品の脚本を書き上げた。その女性の仕事がコロンビアで社会問題となっている、女性にとって最も危険な仕事、「ミュール」(麻薬を胃の中に飲み込んで密輸する運び屋)だった。
マーストンの念密な調査により、映画は南米社会のシビアな現実をドキュメンタリーのように描くことに成功し、主人公マリアがいつ破裂するかもしれない麻薬の粒を抱え飛行機に乗り込み税関をくぐるシーンは、大作では味わえない独特のサスペンス感にあふれるものになった。

■期待の新人女優カタリーナ・サンディノ・モレノの魅力。

 マリアを演じたのは800人以上のオーディションの後、見事選ばれたコロンビア人の新星カタリーナ・S・モレノ。まず昨年ベルリン国際映画祭で主演女優賞を受賞し、全編ほぼスペイン語、デビュー作にもかかわらず、本年度アカデミー賞でヒラリー・スワンク(『ミリオンダラー・ベイビー』で主演女優賞受賞)とならび、『最優秀主演女優賞ノミネート』という快挙を成し遂げた。(※外国語映画でのオスカーノミネートは96年の『セントラル・ステーション』のフェルナンダ・モンテネグロ以来であり、コロンビア人としてコロンビアの映画としても初めての偉業である。)
そのアカデミー賞級といわれるモレノの演技は、生の躍動感に溢れ、危険を冒しながらも母として女性として目覚める姿は神々しく、作品に新鮮な驚きと魅力を吹き込んでいる。

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そして、ひと粒のひかり  2005/コロンビア  ★★★★★ 監督 ジョシュア・マーストン 出演 カタリーナ・サンディノ・モレノ / イェニー・バオラ・ヴェガ / ジョン・アレックス・トロー ■あらすじ■  コロンビア、花農園で働くマリアは、酷い待遇に耐え切れず仕事を辞めるが、家計を支える新しい仕事口は見つからない。さらに、別れた恋人ホアンとの子どもを妊娠していることが分かり、彼女の苦境は極まる。そんな中、偶然知り合った男から麻薬の運び屋をやらないかと持ちかけられる…。サンダンス国際... [Read More]

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Tracked on February 07, 2006 at 12:39 AM

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Tracked on February 19, 2006 at 06:36 PM

Comments

TBありがとうございます。
映画についてとても詳しく書かれていて、ますます観たくなりました!!
すごいブログですね!
自分で一から踏み込むのが難しいカテゴリーが多いので、観てて自分の知識の幅が広がります。

Posted by: nopy-13 | September 28, 2005 at 01:02 PM

TBありがとうございます
静かなのに、なぜか引き込まれました
僕は、最後の彼女の決断と、別れのシーンがよかったです

Posted by: zattchi | October 01, 2005 at 04:07 PM

やっと観てきましたのでTBさせて頂きます。
あまりにもリアルな映像、セリフ、描写に、「え〜!?」「やめて〜!」と何度も本気で驚いてしまいました。
特にサスペンスタッチへと変わる瞬間は鳥肌ものです。
でも現実はもっと酷いのかもしれないと思うと更に恐ろしくなりました。
ドキュメンタリーや娯楽・商業映画の枠を越える素晴らしい作品だと思います。

Posted by: bakabros | November 24, 2005 at 03:49 AM

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