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October 04, 2005

ランド・オブ・プレンティ

自己破綻しつつある、あの“正義の国”で
9.11の亡霊に取りつかれた者の魂を救済するのは、誰?

 ※トラベルムービー レビュー(試写室@六本木)

 名作『パリ・テキサス』や『ベルリン天使の詩』は何度観たことだろう。

 ヴェンダースの最新作を観るにあたって、電通が絡むと、こーなっちゃうんだよ!の不名誉作『夢の涯てまでも』のことをちらりと思い出した。あの時の“深い絶望”ったらなかった。でも、今思い返すと、あれはあれで時代の鏡のような作品だったのだと強く思う。で、それから紆余曲折して、『リスボン物語』以降、着実に彼本来の持ち味を出しながら、シンプルに優しく力強くなってきましたね。

■久々に最高のサウンドトラック!視聴できます。
ランド・オブ・プレンティ
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 さて、この映画は、ロードムービーの巨匠ヴェンダースが、優しく、力強く描く、『パリ・テキサス』以来の最高傑作との評判も高い作品ということだ。(いや、観たんです)

 物語は、亡き母の手紙を伯父ポールに届けるため、10年ぶりに故郷アメリカに帰ってきた姪のラナ。再会した二人は、ある日、殺人現場に居合わせる。

 ラナはその遺体を、残された兄ジョーに届けるため、ポールは事件の真相を突き止めるため、一緒にアメリカ横断の旅に出るのだった。ロサンゼルスからトロナを経て、やがてニューヨークへ。

 それは、混沌としたアメリカにあって、明日への希望を再構築するための旅のはじまりだった…。

 アメリカ男に象徴させた妄想、そして心の疲弊と狼狽ぶりが、嘆かわしい。ここで描かれている物語は、奇跡的な偶然で、ハリケーン「カトリーナ」が貧困層をあぶりだした現実に重なるもので、“病”に気がつかない病というものの恐ろしさを淡々と伝えている。

 一方のアメリカへ帰郷を果たした、ラナの自由な空気もいい。携帯しているモバイルPCノートとiPodが今の旅の感じをあらわす。

 とにかくオープニングから音楽がいい。さすがヴェンダースだ。

 …突き抜けたラストがすがすがしい。実はボクも、9.11の、あの場所に立った時、まるでこの映画のラストと同じだったのだ。なんか空虚な気分だったし、自分と平和との距離感なんか、そこでは掴めなかった。

 反テロ、平和の象徴は、ニューヨークのあの場所だけではない。それを言うなら、ヒロシマもサラエボもイラクも繰り返してはいけないはずなのだ。

  『アワーミュージック』、『トゥルーへの手紙』、そして『ランド・オブ・プレンティ』が心に染みるこの秋だ。 

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監督:ヴィム・ヴェンダース
配給:アスミック・エース
10月22日よりシネカノン有楽町ほか全国順次ロードショー
■公式サイト
www.landofplenty.jp

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