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November 11, 2005

イノセント・ボイス 12歳の戦争

なぜ、誰かのせいで、
輝かしい時間を、愛する人を、友人を、
そしてすべてを奪われていくのか?

※トラベルムービー レビュー(鑑賞:試写室@京橋)
舞台:エルサルバドル

 脚本家オスカー・トレス氏の来日インタビューをすることになり、急遽試写…マジ強制入りました。ってことで、本日某ホテルまでうかがい、話を聞いたりもしたのだが、こういうのってすんごくレビューしにくいです。仕事が絡むと…それは置いておいてっと。

 1980年代、約10年以上続いたエルサルバドルの内戦時、政府軍と発起軍の争いの狭間となった村を舞台に描かれる、少年と戦争もの。実話に基づいた作品なのである。ブルータス的にリアル・ムービーってヤツですね。

 衝撃は「12歳徴兵」が実際に行われていたという現実だ。いや、今も30以上の紛争地で30万人以上の少年兵が、銃を手に戦っているという現在進行形の事実が、この作品で改めて浮かび上がったことのほうが、余程重たい。
 
 物語は、もうまもなく12歳になろうとする11歳の少年チャバの視点で描かれ、進行していく。ある日、お父さんは村を出て行ってしまい、チャバの家はお母さんと姉妹の母子家庭4人組みになってしまう。その頃、チャバの叔父さんをはじめ、農村部の男たちは、政府軍の搾取に対して抵抗を開始していた。

 泥沼の戦争(内戦)ははじまり、政府軍は見せしめのために12歳の子供を徴兵。突然、村へやってきては、ガキ狩りが行われるのである。こうして政府軍の一員となった子供が、親の側を撃ち殺すという、残酷な構図を生み出すのだった。

 村の小学校に通い、放課後を友人と遊び、家の手伝いもするチャバの日常にも銃撃が飛び交っていた。夕飯を食べていたら襲撃されるし、それはまさしく予測不能。いつ命を落とすか、明日をも見えない日々の繰り返しだった。
 
 それでも、政府軍の手をうまく逃れ、小さな恋にも落ちたチャバ。夜のホタルも観に行ったし、友人たちと川遊びも楽しんでいた。しかし、チャバにも刻一刻と12歳の誕生日が迫っていた。母親の弟、叔父さんは、徴兵前に逃げろと言う!彼の唄ってくれた「ダンボールの唄」は、闘争労働者の悲哀をメランコリックなメロディーに乗せた曲で、幼心のチャバの心にも浸透していく。作品の中でも、随所に使われている。

 この作品は、瑞々しい少年の日常に忍び寄る恐怖を描くことで、悲惨な現実を強調し、戦争とは何かを伝えている。難しく考えるというよりは、ありのままを感じ取ればいいのだろう。

 同じ国の人間同士が、奪う者と奪われる者とに別れ、平和な暮らしは許されず、まわりの人も物も環境も、一切合財が奪われていくということの不条理を淡々と描いている。

 少年役チャバを演じたカルロスくんの演技がすばらしい。母性本能をくすぐるキラキラした瞳の元気な少年だ。恋人の住む家の窓に向かって、歓喜求愛の唄とダンスを見せるシーンがあるが、抱きしめてしまいたいくらいキュートである。

 一方、ポスターヴィジュアルにもなっている銃を突きつけられ連行されるシーンの違和感といったらない。

 ちなみに、この内戦は、終結してから15年経過するが、日本政府やアメリカ政府も悪名高き政府軍に援助をしていたという、暗い過去の関係がある。とっても複雑である。それがまた、文部科学省特別選定作品なのだから、皮肉なことである。

 さて、エンタメ度という点では、『メッセージ・イン・アボトル』のルイス・マンドーキ監督なので、リアルスタイルを活かしつつも、きちんとドラマを構築。クライマックスに向かい、情動走らせる演出でブイブイ言わせている。序盤は、どうしても村の日常を描くため、少々面白みにかけるが、中盤以降は緊張感が高まり、スピード感がついてくる。最後は…、救いの中にも、虚しさが全開だ。

 世の中って問題だらけなんだ。ふう。

 アカデミー賞外国語作品賞のノミネートには遠いが、力はある。
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1月よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開
配給:アルバトロス・フィルム
■公式サイト
http://www.innocent-voice.com/

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Comments

この映画を見て、遠い国で起きている理不尽なことについて、なんか自分にもできないかなーと思い、いろいろ関連サイトを探しました。

アムネスティ・インターナショナルがやっている武器取引規制のキャンペーンというのがあって、内戦を助長する国際間の武器取引を規制する条約の締結を各国政府に求めているそうです。
世界中からこれに賛同する人の顔写真を集めるという顔署名というユニークな活動もしています。
これなら気軽に参加できて、しかも映画を見た後のもやもや感をちょっと解消してくれそうです。
このキャンペーンで武器取引規制の条約ができたら本当にすごいですね。がんばれNGOの人たち!!
アムネスティ日本の「イノセント・ボイス」紹介サイトhttp://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=138

Posted by: judy | January 10, 2006 at 11:34 AM

知識として知らないことでは無かったとはいえ、映像で見せられると衝撃を受けます。

Posted by: atsushi_009@PocketWarmer | January 22, 2006 at 11:52 AM

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