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December 05, 2005

ある子供

本年度カンヌで最高賞を手にした、
寸分の狂いもないリアリズム作品。
鑑賞後、温かくも空虚な世界に放り出される

※レビュー (鑑賞:試写@汐留)
舞台:ベルギー
原題:L'Enfant /英題: The Child

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 日本国内でも前作の『息子のまなざし』がロングランヒットとなり、そのリアリズムを追求した演出に定評のある、ベルギーの巨匠ダルデンヌ兄弟が放つ最新作である。本作『ある子供』は、本年度のパルムドール受賞という快挙も成し遂げ、ダルデンヌ兄弟の実力と名誉を不動のものにした。また我が国では、文部科学省 特別選定作品となっている。

 本作品は、生の痛みを知らない世代の苦悩を浮き彫りにし、現代の病根をえぐった問題作である。物語はシンプル。定職にも就かず、子供を授かりながらも、現実感の持てない20歳の男ブリュノ。相手の恋人ソニアは18歳。生まれたばかりの赤ん坊を抱き、退院直後から物語は始まる。

 ソニアはブリュノとの間に生まれた子供の誕生を一緒に喜びたいという気持ちがあるのだが、ブリュノはまるで関心がない。それよりも、目先の金儲け、窃盗や転売のことが気になる。認知、養育器具の購入、子守もソニアに言われるまま付き合うだけである。

 そんなある日、「子供が金になる」話を聞き、その数日後、思い付きから子供を売ってしまう。その事実を知らされ、ショックのあまり卒倒、失神するソニア…。そしてブリュノは、ソニアの失神と告発への恐れから、事態を収拾しようとするが、時は既に遅かった。ブリュノは多くのものを失い、人生の歯車は軋みはじめ、かみ合わなくなっていた…。

 この作品は、過剰な演出を排して、若い二人ブリュノとソニアのそれぞれの行動とやり取りを、観客に強制せずに黙々とスクリーンに映し出していく。目の前で起こっていることが、すぐ隣で行われていることのようなほど、リアルだ。

 作品の中で、観光地ベルギーの美しい景色は一切登場せず、寒く冷たいベルギーのうらぶれた街角を見せられるばかりである。また、陰鬱な表情や面白みのない表情の人々が生きている世界が描かれている。古い病棟の待合室で長時間待たされたような気分。かといって、そうしたものを演出しているのではなく、普通の出来事のように描いているのだ。従って、暗くもなく明るくもなく、悲しくもなくおかしくもない。また可哀想でもない。

 衝撃作とは言うまい。だが、最後に胸に突き刺さる。

 ラストカットの後に訪れる、“その時間”すなわちエンディングに驚かないで欲しい。多くの物や言葉や雑音や感情が溢れかえる世界で、あなたは静かに呼吸をし、何かを思い、そこに生きているのだ。

 ダルデンヌ兄弟の技術・演出力は進化し、さらに洗練された。

 体調のよい時に観てほしい作品である。

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12/10(土)より、恵比寿ガーデンシネマほかにて感動のロードショー!
配給:ビターズ・エンド
監督・脚本:ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
出演:ジェレミー・レニエ、デボラ・フランソワ、ジェレミー・スガール、オリヴィエ・グルメ

■公式サイト
http://www.bitters.co.jp/kodomo/index.html

ある子供 - 映画

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Comments

こんにちは。

エンディングは確かに確かにでした。
『エンパイア・オブ・ザ・ウルフ』のTBダブってしまいました。
申し訳ございません。

Posted by: えい | December 05, 2005 at 10:17 AM

TBありがとうございます。

Posted by: 夢の彼方へ | December 05, 2005 at 02:40 PM

TBありがとうございました。

素晴しい感想文ですね!
本当に観にいきたくなってきましたぁヾ(´ー`)ノ

Posted by: Julia | December 12, 2005 at 07:06 PM

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Posted by: Bryant Cook | October 16, 2007 at 05:04 PM

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