ステップ!ステップ!ステップ!
ぼくたちだって出来るんだ!
未来と希望を胸におどろう!
※レビュー (鑑賞:試写室@日比谷)
3月11日、VIRGIN TOHO CINEMAS六本木ヒルズほか全国順次公開
■公式サイト:http://www.step3.jp/
■物語紹介
ニューヨークの公立小学校に、情操教育の一環として社交ダンスのプログラムが導入されたのは、今から約10年前の94年。 たった2校の5年生から始まったプログラムも、現在では60以上の学校で6,000人の生徒たちに10週間のコースが義務づけられている。 コース終了後に行なわれるニューヨーク市のコンテストで勝ち残るのは、1校だけ。
「紳士、淑女の皆さん、ようこそ!」──ダンス指導員のかけ声とともに入って来たのは、それまでテレビやゲームに夢中だった子供たち。 メレンゲ、ルンバ、タンゴ、フォックストロット、スウィング−初めは戸惑い、そして照れていた子供たちも、レッスンを受けるうちに、次第にコンテスト優勝という目標に向かってダンスにのめりこんでいく。
ワシントンハイツ第115校の生徒はドミニカ移民が多く、97%が貧困家庭という状況で、家庭に問題を抱える子供が多い。 熱血教師・ヨマイラ先生のダンスと教育にかける気持ちと反して、辞めていく子もいる。 昨年の大会で惜しくも優勝トロフィーを逃し、今年は新たなメンバーで、お揃いの衣装を揃え、念願の優勝を目指す。
ブルックリン、ベンソンハースト第112校のビクトリア先生は、子供たちがダンスに親しみを持てるように、笑いをとりながら教えている。 宗教の規律で踊れない子がDJをやっていたり、イタリア系移民やアジア系の子供たちが、みんな一緒のクラスでダンスを学んでいる。 異性のことや、髪型にも興味津々で、時には大人顔負けな発言も。
トライベッカ第150校では、若いアリソン先生が、生徒を愛するがゆえに大会に出場する代表メンバーを選びたくないと悩む。 負けて泣きじゃくる子や、冷静に分析する子など個性豊かな子供が多い。昨年のチームがセミファイナルまで勝ち残っていて、プレッシャーを感じている。
決勝戦に向けて、地区ごとの予選が近づく。 それぞれのチームでは、緊張したり興奮する子もいれば、ダンスを嫌がり辞める子も出てくる。 子供たちは日々の練習と先生との対話の中で、勝ち負けだけでなく、未来の紳士と淑女としての自分を発見していく。 代表メンバーになった子供はパートナーと共に、選ばれなかった子供たちは応援メンバーとして、たった一つの優勝を目指す。
そしてついに6月、待ちに待った決勝戦の幕が開く…。
ニューヨークに暮らす、決して恵まれているとはいえない環境にある子どもたちが、ダンスを通じて自分を知り、お互いを知る、交流と成長のドキュメンタリーであり、とても楽しく鑑賞できた。ダンスと遭遇した、子どもたちが生き生きしているのが印象的。また才能の芽生えも描かれており、ワクワクさせられるのと同時に驚かされた。
作品の骨格は、コンクールに向けた数チームのバトル形式を採用しており、飽きさせない展開だ。ラテン系のダンス音楽も作品に楽しさと明るさを与えている。しかし、それが故に「ダンスをする喜び」が弱く感じられた。
類似作品に『ベルリン・フィルと子どもたち』があり、比較するのはやぶさかではないが、こちらのほうが心をゆさぶった。たぶん、こちらはバトル構成ではなく、公演へ向けて体で表現することの楽しさすばらしさを知ることを描いているからだろう。そして、表現を磨くことは。人生をも変えうることを強く伝えているからだろう。
本作はそこが弱かったのかもしれない。が、秀作ではあろう。
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