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February 01, 2006

ブロークバック・マウンテン

自然の摂理にかなった
「愛の法則」とは何なのだろう?
この作品に描かれている「愛の形」は、
あまりにも自然で力強く、ときにもろく、ときに活き活きとして。

※アカデミー賞最多ノミネート記念レビュー(鑑賞:試写室@京橋)
舞台:アメリカ合衆国>ワイオミング州
3月4日、シネマライズにて先行ロードショー
3月18日、全国にてロードショー
配給:ワイズポリシー
公式サイト:http://www.wisepolicy.com/brokebackmountain/


1960年代のアメリカ
ロッキーの大自然、
カウボーイの仕事での出会い。
いつの日にか恋に落ち、
愛の喜びを知る二人の男。
しかし、許されぬ想いに葛藤し、
でも気持ちは押さえらず。
人並みに結婚し家庭を持ち、子供を育て、仕事に励み…
人生の時間が淡々と過ぎ行く中で、
「秘めた恋」とともに歩み続ける。
そして20年が過ぎた、その結末には…。
(以下レビューへ続く)
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brokeback_mountain

 今年のアカデミー賞ノミネート作品では、『クラッシュ』、『ミュンヘン』、『ブロークバック・マウンテン』を既に鑑賞した。本命がないと言われつつも、『クラッシュ』の衝撃は一生忘れることのできない映画体験となったし、『ミュンヘン』をスピルバーグが監督した意義というのも大きい。『グッドナイト&グッドラック』『カポーティ』は未見だが、ひとことで言うと今年のアカデミー賞ノミネート作品は「正統派監督による斬新な作品」が出揃ったと言えるのかもしれない。私は今年のアカデミー賞が好きだ。

 さて、『ブロークバック・マウンテン』である。

 スクリーンからあふれ出す、「純粋すぎる想い」に胸が張り裂けそうになった。監督アン・リーの驚くべき才能とは、「才能を感じさせない」ことだろう。

 あまりにも自然な成り行きで、ゲイではない二人の若い男が恋に落ち、やがて愛し合うようになる姿を描き出す『ブロ-クバック・マウンテン』は、あらゆる意味において画期的な作品である。

 アメリカの大自然の象徴とも言えるロッキー山脈を舞台にし、男らしさの象徴であるカウボーイが主人公である。それぞれに無骨で不器用な男たちだが、「芽生えた感情」は、どうしても抑えることが出来なかった。そこに幸せな絆を得た喜びと、社会的偏見を背負った悲しみが生まれるのだ。

 台湾出身のアジア人監督アン・リーは、高いハードルをいとも簡単に超えてしまった。これまでゲイを主題にした作品は、「ゲイに生まれついた人々(有名人やアーティスト、一般人まで)の葛藤」のようなものが多く、「ある日、男の子にときめいちゃった!」、悩んで、いじめられて、傷ついて…それでも!という展開のものが多かった。

 しかし、本作はゲイライフを描いた作品ではない。あまり肩に力をいれて観に行くと、淡々としていて肩透かしを食らう方も多いかもしれない。めくるめく展開はない。決して、未知の衝撃の類ではない。

 少しずつ打ち解けあい、日々の生活と仕事の中で信頼を築き、やがて恋愛感情を抱き、結ばれていく。この至極全うなプロセスが作品力によって「誰にでも起こりうる」レベルまでの表現へと到達しているからである。だからこそ、「普遍的な愛を描いた作品」と評されているのだろう。

 突然、雲間から陽が差すように、あるいは雨が降り出すように。緩やかに季節が移り変わり、山々が四季の豊かな彩りを見せるように。自然の営みが、実は「神秘そのもの」でありながらも「神秘」を感じさせない、ありふれたものであるように、この作品もすんなりと物語へ引き込んでいく。圧倒的なヴィジュアル、演出力、表現力で説得させていくのだ。

 感情を表に出すことが苦手な男イニス(ヒース・レジャー)が見せる想い、ジャック(ジェイク・ギレンホール)の輝くような眼差し、それぞれの歓喜と悲哀がスクリーンの中で輝いている。物語を支える女性たち、妻や恋人、母親、そして成長した娘の存在感も際立っている。みごとなキャスティングの上に、この作品では奥さんとのセックスライフや家庭生活をもバランスよく、またズレが生じていく様子をも描いているのである。
 
 さらに、アン・リー監督はその演出法として、胸を突き刺すような感情や事実を、短いカットで巧みにインサートする。それはまるで一筆で傑作へと変えられてしまう絵画のようなものである。天才技である。

 饒舌に過ぎず、感傷的に過ぎず、華美にありすぎず。それでいて美しい。力強い。

 ラストシーンのすばらしさはまさに筆舌に尽くしがたく、味わい深い。…時は巡るのだ。

 完璧である。残酷である。感服である。

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Tracked on March 05, 2006 at 09:02 AM

» ブロークバック・マウンテン/BROKEBACK MOUNTAIN [マジック・映画について思うこと]
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» ブロークバック・マウンテン [雑食]
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» 映画:ブロークバック・マウンテン [駒吉の日記]
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» 16 ブロークバック・マウンテン [毎週水曜日にMOVIE!]
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Tracked on March 17, 2006 at 10:53 PM

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米ヴァラエティ誌によれば、「オスカー受賞によるマネーメーキング効果は2800万ド [Read More]

Tracked on March 19, 2006 at 12:28 AM

» 『ブロークバック・マウンテン』 [*Sweet Days*  ~movie reviews etc~]
監督:アン・リー  cast:ヒース・レジャー、ジェイク・ギレンホール アカデミー監督賞他授賞、 ゴールデングローブ作品賞、監督賞他授賞、 ヴェネツィア映画祭金獅子賞授賞 1963年、ワイオミング州のブロークバック・マウンテンに羊番として雇われたイニス(ヒース)とジャック(ジェイク)。2人はお互いに協力しながら羊の番をする。その内彼らの中には友情が芽生え、そしてお互いに強く惹かれ合っていく・・・ 流石に高評価の作品です。今もまだジュワンジュワン来てます。 とにかく何て切ない... [Read More]

Tracked on March 19, 2006 at 07:07 AM

» 『ブロークバック・マウンテン』 遠い山に思いを馳せて。 [キマグレなヒトリゴト]
何よりも美しかったのがほんの一瞬だけ戻った過去。 焚き火の前に立ちながらうとうとしているジャックを 後ろから抱きしめるシーンを思い出したジャック。 ココロのよりどころになっている あの美しいブロークバック・マウンテンの景色。 変わらずに思いを馳せる気持ち、だけ..... [Read More]

Tracked on March 20, 2006 at 05:43 PM

» 自分の幸せは自分にしか解らない。『ブロークバック・マウンテン』 [水曜日のシネマ日記]
羊番の仕事を通して知り合った、ふたりの男性の物語です。 [Read More]

Tracked on March 21, 2006 at 08:42 AM

» ブロークバック・マウンテン [日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々~]
1963年、定職に就かずにいるジャックとイニスは、ワイオミング州ブロークバックマウンテンで羊の群れを守る仕事を得て、ひと夏をともに過ごします。大自然の中、助け合って働くうちに、深い絆が築かれ、男同士の恋愛へと発展していきます。山での仕事を終え、別々の生活を始めた二... [Read More]

Tracked on March 23, 2006 at 12:48 AM

» ブロークバック・マウンテン(3/4公開) [第八芸術鑑賞日記]
 3/17、シネマライズにて鑑賞。7.0点。  本命のオスカーこそ『クラッシュ』に持っていかれたものの、今シーズンの賞レースで独走し続けた話題作。  ゲイのカウボーイ二人のお話。  仕事で半年間、山上で羊の管理をすることになった二人のカウボーイが、その孤独な生活の中で愛を育む。しかし、仕事が終わってそれぞれの生活に戻った二人には、異性の妻ができ、子供も生まれる。それでも互いへの想いを忘れら... [Read More]

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» 『ブロークバック・マウンテン』 2006・3・19に観ました [映画と秋葉原とネット小遣いと日記]
『ブロークバック・マウンテン』   公式HPはこちら ←クリック ●あらすじ 1963年、ワイオミングのブロークバック・マウンテンの農牧場に季節労働者(羊番)として雇われたイニスとジャック。彼らは大自然の中で一緒の時間を過ごす内に深い友情を築いていく。しか... [Read More]

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Tracked on March 27, 2006 at 11:41 PM

Comments

はじめて投稿するものです。よろしくお願いします。

「ブロークバック・マウンテン」、正直、「ずるいなあ」という印象がしたんです。
なにか、反論のしようのない題材じゃないですか。
でもやっぱり、微妙なテーマに果敢に挑んだ監督に拍手すべきかな。

また機会がありましたら寄せていただきます。
ありがとうございました。

Posted by: じん | February 01, 2006 at 10:46 PM

はじめまして、雅といいます。
トラックバックありがとうございました。

ブロークバック・マウンテンはまだ見ていないのですが、「完璧・残酷・感服」ですか・・・ますます見たくなりました!公開したら即見に行く予定です。

実はこちらのブログには、よく寄らせて頂いていました!
映画レビューがたくさんあって、参考にさせてもらっています。
これからも更新楽しみにしています。

Posted by: | February 02, 2006 at 03:42 PM

TBありがとうございました。お返しさせていただきますので、これからも宜しく。

Posted by: チュチュ姫 | February 03, 2006 at 06:01 AM

TBありがとうございました~。こちらからもTBさせて頂きました。日本ではまだ公開は一ヶ月も先ですが、日本でも沢山のひとがこの映画を観て感動してくれるといいな、と思います!

Posted by: ヤブウチ | February 06, 2006 at 06:13 PM

はじめまして。
azuki-mと申します。
TBありがとうございました。
こちらは時折拝見しておりましたので、TBはものすごくうれしかったです。
こちらからもさせていただいた・・・のですが、何分初めての経験ですので、不具合がありましたら申し訳ございません。

「ブロークバック・マウンテン」に関しては、かなり期待をしています。
公開が待ち遠しい。

機会がありましたら、またよろしくお願い致します。

Posted by: azuki-m | February 06, 2006 at 08:43 PM

はじめまして。
興味深く読ませてもらいました。
「ブロークバックマウンテン」
公開がとても待ち遠しい作品です。
そういえば、内容が不適切ということで中国では上映禁止作品に指定しようとしてるようですね。
「SAYURI」に引き続き指定されてしまうんでしょうか?
動向が気になります。

Posted by: ユーリ | February 10, 2006 at 10:40 AM

●ユーリさま

中国政府のやること、
なんだかわけわかりません。

昨年ヒットはしたものの、
「七剣」「THE MYTH神話」など、
つまらない作品の公開ばかりで、
中国の方がかわいそうな気も。
それに比べたら「PROMISE」は、
さすが!カイコー監督と言えてしまうでしょうね。

というか、「SAYURI」も「ブロークバック」も
海賊版がどんどん出回るんでしょうね。

本編上映前に、あっちでも黒い涙ながれているのでしょうか?

知っている方いたら教えてほしいです。はい。

Posted by: エンタメ!ブレイク? | February 12, 2006 at 12:41 PM

はじめまして。TBありがとうございました。お礼が遅くなりましたです。私も「クラッシュ」ぜひぜひ見たいです!「グッドナイト&グッドラック」はハリウッドの赤狩りを描いているんですよね。のでアカデミー賞の受賞はないかな~、という気がします。

Posted by: エリスのあるじ | February 14, 2006 at 02:33 AM

こんにちは、TBさせていただきますね。
この映画は、同性愛がテーマの映画 いうよりも、
本当に友情と愛情の映画って感じがしました。
どうしても、同性愛がテーマになると、もう少し雰囲気が違うと思うので。
日本で、『男性同士の愛』みたいな事ばかりが全面的に出た宣伝は
しないと良いな…と思います。

Posted by: souffle | February 15, 2006 at 04:12 AM

はじめまして。O Nishizakiさん。
shite blog管理人のshiteと申します。m(_ _)m
この度はTBどうもありがとうございました。

もうご覧になられたのですね。
レビュー読ませて頂いて、ますます観に行きたくなりました。

コチラからも、TBさせて頂きました。ではでは。

Posted by: shite | February 15, 2006 at 01:10 PM

こんにちは、コメントなしのTBだったので、悪戯かと思いました(笑)。アンリーは、私が敬愛する監督の一人です。NY大学に居た時、あのスパイクリーと共同製作したそうですよ。エンタメさんは、やはりプロの書き手ですね。すごい感心してしまいます。

ところで、『グッドナイト&グッドラック』『カポーティ』どちらとも良かったです。ついでに、『シリアナ』も。NYでは、多くの映画の公開が日本より一足、早いので、映画好きの私には最高です! (でも、日本映画はあまり見れませんが、涙) 私も映画について書いていきます。これからも宜しくお願いしますね〜。 

Posted by: 向日葵 | February 15, 2006 at 01:52 PM

TBありがとうございます!
そしてお礼が遅くなり申し訳ありません。
早く日本語字幕で見たい!と思わせてくれる映画ですね。
ラストシーンで本当に涙が止まりませんでした。
普遍の愛の物語って云う宣伝文に納得。

Posted by: nichika | February 19, 2006 at 07:21 PM

ありがとう

Posted by: 内田 | February 22, 2006 at 07:38 PM

TBありがとうございます。こちらからもTBさせていただきました。
この映画に対する日本での反応がどうなるか楽しみです。受身ではなく、Progressiveになって欲しいと思います。

Posted by: toshi | March 05, 2006 at 09:09 AM

初めまして。トラバありがとうございました。
自分も観たいなぁと思っていますが果たしてどうなる事やら・・・・
でも観る前の印象としてはホントに「残酷」と言う言葉が
何だか色んな意味で合っているのかなぁと思っています。
実際はどうなのでしょうか。
アカデミーの授賞式も、とても気になります。
こちらからもトラバさせて下さいね。

Posted by: キサ | March 05, 2006 at 03:22 PM

この映画は、「男同士の関係なんて!」と思っている人が見ても、素直に共感できるだけの力を持った映画だと思いました。 とても静かで自然な流れなのに・・・・。
逆に、ゲイに対する興味本位で見ようと思った人にはつまらないかもしれません。
アカデミー賞は、残念でした。
私はクラッシュをまだ見ていないのでなんともいえないですが、こちらを観るのも楽しみになりました。

Posted by: 有閑マダム | March 06, 2006 at 03:44 PM

すみません、トラックバック、間違ってたくさんやってしまいました。本当にごめんなさい。
そして、トラックバックありがとうございました。

Posted by: ryuga | March 07, 2006 at 01:44 AM

こんにちは、TBさせて下さい。
シンプルなストーリーでここまでじーんとしたのは久しぶりです。
やっぱり脚本と俳優さんたちの繊細な演技なんでしょうね。
原作も読んでみたくなりました。

Posted by: 駒吉 | March 13, 2006 at 02:37 PM

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